今回は神戸から出て、他の地域と見比べることにより神戸の魅力や課題を知る機会をと考え、滋賀・奈良・三重の四県が接する京都府最南東に位置する宇治茶の産地である相楽郡南山城村にお邪魔しました。南山城村の人口は現在約2700人。7年ほど前からは移住者が増え始め、2017年には道の駅が誕生し、村へ足を運ぶ人が増えました。そんな南山城村を〈種はおよぐ〉メンバーである對中さんにアテンドしていただき村ツアーの始まりです。

[道の駅]お茶の京都みなみやましろ村

12時に集合したメンバー、まずは腹ごしらえに「お茶の京都 道の駅みなみやましろ村」へ。2017年に開業し、年間買物客が40万人という村の人気施設。地域のお茶や農産物、地域食材を使用したレストランなどがあります。森本社長が用意して下さったのは、お茶づくしの「茶どころ弁当」原木椎茸や村の伝統食が入ったオリジナルのお弁当。

駅長・田邊さんから茶農家さんの特性を聞きながら、新茶の飲み比べ。道の駅でも単一品種・単一農家の「シングルオリジン」の4種について説明してくれます。みんなで自分好みのお茶を探します。

各農家さんと直接契約しているだけあって、詳しく熟知されています。栽培や製造方法、標高など地形によって色や香りに個性が出ていました。京都では珍しいかぶせ茶や、無農薬で複雑な香りのお茶、爽やかなコクのあるお茶、金色で宇治茶らしいお茶。
「やっぱり和菓子や食事など何かに合うものが使いやすいですね。こういう時に飲むお茶、とかそういうシーン別にしないと、と思うので特徴的なお茶を作らなければと思います。」

辻本製茶工場

続いて、先程飲み比べにも登場した辻本さんの製茶工場へ。明るい辻本ご夫婦が出迎えて下さいました。朝から収穫された茶葉がここへ運ばれ、ひとつひとつ考え抜かれた製茶の工程を経て、美味しいお茶になります。一つの工程に、一つの機械、その調整具合にもこだわりが出ています。

「今朝刈ったばかりの茶葉を製茶ラインに乗せています。まずは蒸し機、常に仕上がり具合をイメージしながら、蒸しの深さを決めています」辻本さんのお茶は、この蒸し時間の長さが一番のこだわり、コクと鮮やかな緑色の素です。

さらに、辻本寿子さんの案内で自慢の茶畑を見せていただきました。 ここはお茶の品種のなかでも、玉露やお抹茶に使用される「おくみどり」を栽培されています。茎も濃い緑色になっていて、葉っぱはつやつやと美しい。思わず写真を撮りまくる皆さん。

キノコノ山田

続いて、同じ田山区でしいたけ農家を営むキノコノ山田を営む山田さんへ。 6年前に、椎茸を栽培できる場所を求めて南山城村へ移住されました。コマ打ち(ホダ木への植菌)からパック詰めまで、ご夫婦で運営されています。

「植菌した原木を2回夏を越すまで組んで置き、原木に菌をまん延させます。原木栽培のしいたけは菌床栽培のものに比べて肉厚で食べごたえがあり、乾燥させても濃い出汁が出ます。それは1年半のサイクルをかけて、厳しい冬も乗り越えたからこそ、春に芽吹く生命力が椎茸についているからです」
地域の方からホダ木となるクヌギをいただき、使用した後は燃料として循環しています。また山田さんは菌床でキクラゲ栽培もされています。

旧田山小学校

木造校舎がかわいい「旧田山小学校」へ向かいました。 ここではCaféねこぱんのお店があり、オーナーである木工作家の永尾さんの作品を購入できるギャラリーや工房、数名の方のアトリエ、紅茶の製造場として活用されています。

まだ当時の学校の音が聞こえてきそうな校舎内。地域の大切な思い出として、皆さんで大事にされているのを感じます。

南山城村移住交流スペース「やまんなか」

田山小学校の向かいにある移住交流スペース「やまんなか」2017年にオープン後、移住希望者の相談や地域の方の集いの場、移住希望者と地域をつなげる役割を果たしています。やまんなかのスタッフでもあり今回の記事を書いていただいた楠瀬さんに案内いただきました。欲しいものと貰ってほしいものの「WANT&GIVEボード」や空家物件などの紹介もしています。

山のテーブル_旧野殿童仙房保育園

この日の最後は、童仙房区にある對中さんのお店「山のテーブル」へ田山地区から車で30分。標高500mの山の上へ!ぐんぐん山道を登りきると、平地になり集落が見えてきます。保育所を改装した「山のテーブル」、對中さんが作る美味しいごはんは、旬の食材で地域の暮らしを感じられるお料理です。

「美味しい~~」「シカ肉がやわらかい!」お腹いっぱいで既に満足げな皆さん。 食事の前には神戸からの参加の方、村の農家さんや作家、役場の方、〈種はおよぐ〉メンバーで、異なる分野からの目線で、町と農村、食、商品化、地域の魅力の再発見をして発信することについて、ディスカッションを行いました。その模様は次のページで。