本日お集りいただいた4名の都市住民の方々。真ん中の方は…オーラが見える??


鶴巻さん:今日はお集りいただきありがとうございます。私は、北区淡河町で兼業農家をしているつるまき農園の鶴巻です。2020年から「怠惰な人類のための農ある暮らし開発研究室(怠農研)」というふざけた名前の集まりを作り、2週間に1回程度、都市部から農業のお手伝いに来てもらっています。今回は改めて、都市部に住むみなさんが、どういう形であれば仕事とうまく折り合いをつけながら農に関われるかについて、色々とご意見をもらいたいです。

早速なのですが、みなさんに簡単な自己紹介をお願いします。

岩本さん

岩本さん:企画とかデザインの仕事をしています。コロナで少し時間ができたタイミング(2020年5月)で鶴巻さんの米作りを手伝い始めましたが、最近は忙しくなりあまり行けてません。

鶴巻さん:頼むよ。

濱部さん

濱部さん:企画とか編集の仕事をしています。子どもとか生き物とかそういうものが好きで、今は食を基点としたメディアや企画を作っていることが多いです。怠農研には1回来てそれっきりです。

鶴巻さん:君もか。

ケリイさん

ケリイさん:イベントやプロジェクトの企画をしています。人と人を繋ぐデザインをしています。私自身も、ある豆腐が好きな女の子を応援したくて、小野市の畑で大豆から育てて豆腐を作るという活動をしています。怠農研には1回来てそれっきりです。

鶴巻さん:つらくなってきました。

大堀さん

大堀さん:病院で療法士として働いたのち、ワーキングホリーデーでニュージーランドへ行き、WWOOF(無給で「労働力」を提供する代わりに「食事・宿泊場所」「知識・経験」を提供してもらう農業ボランティア制度)をしました。現在は、八百屋や介護付きシェアハウスで働いています。怠農研はあんま日程合わずで2回くらいは行きました。

鶴巻さん:どいつもこいつも!

改めて、怠農研とは。

濱部さん:そもそも怠農研ってどういう意味でしたっけ?

鶴巻さん:過去にも多くの人が「畑手伝いたい!」と言ってくれたけど、1回来て終わりとか、そういうのが多いなという感覚がありました。怠惰なわけです。一方農家も、手伝ってもらって嬉しいけれど、事前のやりとりや当日の対応がちょっと気が重い、面倒…結局一人でやってる方が楽…みたいになるわけです。怠惰!人類はみな怠惰!というわけで、そういうお互いの状況を踏まえた緩やかな仕組みがあったらいいんじゃないかという意味で、この名前をつけました。まずは自分の農園で実験し、いい仕組みができれば、色んな農家さんにもご紹介したいです。それぞれのニーズはマッチしてるはずなのに、広がらない「何か」があるような気がしています。今回の議論は、参加費を取るような農業体験イベント型ではなくて、あくまで農家の普段の農作業に関わる「援農」の延長にある仕組みです。

ケリイさん:農業って、「途中で投げだしたらあかん!」って捉えがちになってしまうけど、入り口としてはこれくらいの緩さで、しかも農家さんがリードしてくれるならやってみたいという気持ちが生まれるかも。

どういう形で農が身の回りにあるといいですか?

濱部さん:仕事とプライベートがあって、それぞれにがつっと定期的な農の時間を入れるのは難しいかも。ただ私の場合、18時以降は実験的な時間として色々なことをしたいという気持ちもあり、そういうところに農的なものがあるといいなと。夜ですが…。

鶴巻さん:仮に、土日関係なく農業をされている農家さんが受け入れをしていたら、土日に行きますか?

濱部さん:うーん、分かりません。農を開いていれば、どの農家さんのところでも行きたいかと言われると、そうではないかもしれません。

鶴巻さん:例えば、農業ボランティア受け入れ可能農家さんの一覧サイトがあって、顔写真、プロフィール、受け入れ可能日程…などなどが掲載されていたら、どこかに問い合わせみようってなりませんか?

濱部さん:「〇〇を育ててます」というスペック情報だけでは共感しにくいので、「イエモンが大好きです!」みたいな(笑)、人となりがたくさん掲載されている方が行きたいと思うかも。

ケリイさん:「なんで来てほしいか。どんな人に来てほしいか」もあるといいですよね。

岩本さん:今回鶴巻さんのとこに来たのは、プライベートだから。これが広く募集されパブリックになると、行かないかもしれないです。とはいえ、そうやってプライベートで簡単に農家さんと繋がれる人ばかりではないので、プライベートとパブリックの中間地点くらいを目指していく必要はあると思います。

濱部さん:コミュニティを欲していてコンスタントにお手伝いに来る人と、1回きりの人が混ざってるくらいがいいですよね。固まると敷居が高くなるので。

岩本さん:あとこれまでは、集まる日は隔週の水曜の午前って決まっていましたが、行ける日程が多くて選べる方がいいかもしれません。そうなるとコミュニティの色は薄くなりますが。あと、「今年は農薬を使わないで米作りをしたいから人手がほしい」みたいなテーマがある方が行く気になるかもです。

鶴巻さん:なるほど。ギャップがありました。個人的には、例えば仕事終わりに映画を見に行くような、前後の関係性なくパッと終わるものの方がいいのではというイメージを持っていました。2時間汗かいて終わり!土触ってすっきり!みたいな。コミュニティとか、農家の力になりたいというテーマがあった方がいいというのは新鮮でした。

大堀さん:私も鶴巻さんと同じイメージでした。あくまで「遊び」の範囲内。もちろん農家さんにとってのお仕事なので、一生懸命お手伝いしますよ。たまたま予定が空きそうな日に「そういえば最近鶴巻さんのとこ行ってないなー。土触りたいから連絡してみよ。」くらいの遊びなんです。USJ行くか、土触りにいくか、どっちにしよーみたいな感覚(笑)。

濱部さん:今全体を聞いてて思ったんですけど、「空ける」のではなく、「空いてるからいける」という形いいですよね。ネットでカレンダー公開しておいて、いける日連絡してくださいとかでもいいですね。

ケリイさん:友達と行きたいというニーズにも、この形の方がマッチするかもですね。私もここで発表します(笑)やっぱり、背中を押し続けてくれる人が必要ですよね。スポーツジムとかも「がんばろー!」って始めたはずなのに、いつの間にか義務感が…。「一緒に行こう」と言える人がいると、フットワークは軽くなるかなと。

鶴巻さん:なるほどです。こうして聞いてみると、それぞれの関わる理由って様々ですね。

このような仕組みを広げるためには

鶴巻さん:自分の場合兼業なので、他の仕事をしている中でこうやって出会いがあって、「来てみません?」と言える機会は比較的多いと思っています。なので、自分の世界だけで完結するなら好きにやっていたらいいんですが、神戸には素敵な農家さんもたくさんいますし、新規就農した方に話を聞くと「孤独に耐えられない!」という声もよく聞きます。そしてこのコロナ禍の中、足元を見つめ直したい、土に触れたいという人も多いのではと感じています。仕組み化するという観点だとどう思いますか?

岩本さん:仮にマッチングできるサイトがあったとして、俺使うかなーそれ(笑)

鶴巻さん:いきなり話題をぶった切るのやめてもらえますか?怠惰ですよ、君。

大堀さん:BBQの交流会とか、知り合う機会が先にあった方がいいかもです。

鶴巻さん:うーん、ハードル高いな。俺行くかなーそれ。

岩本さん:あなたも怠惰ですよ。

鶴巻さん:大堀さんがニュージーランドでWWOOFの受け入れ農家を見つける時はどうやって見つけたんですか?

大堀さん:WWOOFのサイトがあって、プロフィールがたくさん載っています。写真が重要!人(ホスト)の写真、農場の風景、人となりが伝わるもの…を見ました。文章も、育てている作物の話だけでなく、「こういう風に暮らしています」「こんなことが好き」みたいなのも知れたのでよかった。いいなと思ったのは、『exchange』つまり交換という感覚なんです。ホストが農業を教えるだけでなく、やってくる人からも、色んなことを教えてほしい、相互に学ぼうという価値観が見える農家さんに惹かれました。

鶴巻さん:その感覚とてもいいですね。続けるかどうかを確認しあう面談みたいなものもあると聞きましたが?

大堀さん:明確に設定されるわけではないんですが、2週間くらいでお互い様子を見て、どちらかが合わないと思ったら正直に言えるようにしようねみたいな注意書きはありました。

鶴巻さん:農家側として「気の合う人だったら来てほしいけど…」という声はよく聞きます。それは行く側もきっとそうでしょう。後で正直に言えるような仕組みも大事ですね。日本人の気質的に難しそうですが。

岩本さん:おすそ分けとか、お金を介在しない協力関係とか、そういうのが難しい時代になってしまった感もありますよね。だから農家側としては、来てもらえたら嬉しいけど、無償の労働力として受け取っているだけになってしまっていいのだろうかという、しこりみたいなものがありますよねきっと。

鶴巻さん:普通は、例えばみなさんの会社に行って領収書半日打ち込みますって作業したら、当然それはバイトになるじゃないですか。でもなぜか農業だけ援農という言葉があるのが面白いですよね。

大堀さん:その分に関して言えば、野菜でお返ししてもらえたら充分じゃないですか?もちろんあるときとないときがあっていいし、野菜をもらうためにやっているわけじゃないですし。

濱部さん:お金を介在しない関わりというのは、もっとあるべきですよね。農家さんは、『自然』というベースの元で生活しているので、私たちはそれを感じやすいのではないか。「こういうの大事だよね」というのに気づく場所としても機能したら面白いのではないか。

岩本さん:整理すると、来る側のモチベーションは2つある気がします。1つは、どこかに遊びに行く選択肢の一つとして行くようなパターン。もう1つは、特定の農家を応援したいと思っていて、それに紐づくコミュニティを求めているパターン。後者の場合、農作業じゃなくても、「干し芋作るの手伝いまっせー。」みたいな感じのもありだと思います。

鶴巻さん:今回の議論としては前者の入口整備をまず試したいですね。入口を整備して出会いが生まれれば、1回きりの人もいれば定期的に行く人も生まれていくと思うので。

濱部さん:例えば「怠農研クラブ」みたいなサイトがあって、1回きりでもいいという緩いコンセプトがあって、人となりが分かるような各農家のプロフィールがあったらいいかもですね。

鶴巻さん:コンセプトが明記されているのが大切ですね。1回きりでも、定期的でも、不定期でもいいんですよという。

濱部さん:怠惰といえど、解散時間は明確に決まっていると助かります(笑)。仕事のアポがあったりするので。以前来たときは「13時には昼ご飯食べて解散だからここらで終わります」と鶴巻さんが言っていてそれは安心できた。

ケリイさん:そうですね。私も午後から仕事がありましたが、平日の午前に汗かくのは気持ちよかった。

鶴巻さん:僕は部活のように15時集合で18時くらいまでを主張しています。カレー食べてすぐ解散!くらいがいいと思ってるんですが。午前畑して午後仕事になります?(笑)

岩本さん:夏場、1回熱中症になりかけたけど(笑)

鶴巻さん:そうか、でもカレンダーでチェックして開かれているようなシステムになっていれば、各々が来たいときに予約できるわけか。

岩本さん:でもそうやって間口広げると対応大変だと思うので、まずはつるまき農園とあと2人くらい話が早い農家さんで実験してみたらどうでしょうか?

鶴巻さん:そうですね。ゆくゆくは、新規就農の人の「めちゃくちゃ孤独問題」とか、そういうところも少しでも助けになれたらいいなと思います。農家になるのは大変なので、なんとか続けてほしいです。

岩本さん:農家の「これしてほしい!」というwantがあると行く気になりますね。

鶴巻さん:でも、「今年から有機でやってみたいから牛糞一緒に田んぼに撒いてほしい」って、「仕事なんだからバイト雇えや!」って思わない?

岩本さん:いや、鶴巻さんが豪邸建てて外車とか乗ってたら思うけど、どうもそうではないと(笑)そしたら応援したいですよ。

リアルな公開処刑はやめてください

鶴巻さん:泣けてくるからやめてもらえますか。でも、基本は日常の農作業にするっと入り込んで手伝うというイメージなので、それがないと募集しにくいのは大変かも。

大堀さん:「今月はサツマイモ掘りがピークなんで助けてほしい!」みたいなSOSコーナーがサイトの中にあったら面白いです。

濱部さん:それはお互いそうかもしれないですね。イベント的に差し込むのではなく、農家側も私たちも、どうやったらその関係性が違和感なく日常に溶け込んでいくかですね。

鶴巻さん:濱部さん、前来てた時、「10時からオンラインの打ち合わせあるから一瞬抜けるわ!」って言ってましたからね(笑)そういうのすごくいいなと。個人的には、家にWi-Fiもあるので、午前農作業したら、午後は我が家でテレワークしてもらうセットなんかもいいなと思っているんです。

オンライン会議の様子。クライアントはどう思っていたのだろうか…

ケリイさん:野菜作りを体験したいと思って行っていたけど、実は草引きとかに没頭できることが大きな行く意味だったみたいな、色んな目的があっていいですよね。

鶴巻さん:今日は本当にありがとうございました。小さく実験、続けていきたいです。あと、怠農研、また来てくださいよ(笑)