怠農研(怠惰な人類のための農ある暮らし研究室)第3弾でーす。今回は受け入れる農家さんが引っかかってることは何かについて考えてみましたー。ご覧くださーい。


片岡さん:前回・前々回から『怠農研』というプロジェクトをしている鶴巻さんにお話を聞いてきたんですけど、今回種はおよぐメンバーの一人が実際に体験しに行っているみたいなので、その感想なども含め聞きたいと思います。では鶴巻さんお願いします。

怠農研を体験してみて その2

鶴巻さん:はい。それでは早速今日来てくれた。

長坂さん:長坂です。よろしくお願いします。

片岡さん:よろしくお願いします。今日は朝からですか?

長坂さん:そうです。朝9時から芋掘りしました。

鶴巻さん:ちょっと雪が舞ってたんですけど、頑張りました。

長坂さん:なかなか深くて、スコップ入れても入れてもぜんぜん芋にたどり着けなくって。

片岡さん:そうですよね。芋掘りとか、幼稚園のときとかの記憶しかないですね。

長坂さん:めっちゃ掘りました。でもがんばったわりには、あれ、ここ少ないなと思ったら、最後はざくざく掘れたんで、ちょっと役に立ったみたい?

鶴巻さん:助かりました。はい、めっちゃ立ってました。

片岡さん:それはもうそうですよね。めちゃくちゃ役に立ってますよね。

長坂さん:芋掘れないかもみたいなぐらいの状態になってるみたいで。

片岡さん:あ、そうなんですね?

鶴巻さん:うちは体験農園なんで幼稚園の芋堀り遠足とかを受け入れしてたんですけど、半分くらいがコロナ禍で来れませんっていう話で。自分で掘らなきゃいけないんで、寒くなりきる前に掘り切れるかなみたいな感じでした。

片岡さん:それは、助かりましたねだいぶ。

鶴巻さん:はい、助かりました。なのでやっぱり『怠農研』をいろいろ拡げたいなと。

実際問題、農家的には”お手伝い”をどう感じているのか?

長坂さん:そう、鶴巻さんはめっちゃ受け入れてくれるんだけど、手伝いたい人がどこでも行けるわけじゃない。鶴巻さんは受け入れてくれるけど、受け入れてくれない人もいっぱいいてて。

片岡さん:実際他に、そういった『体農』をされてる農家さんはいるんですか?

鶴巻さん:はい、何人か。『援農』っていう言葉をよく使うんですけど、それを受け入れてる農家さんは何人かいらっしゃったりします。芋掘りなんかは大勢の子どもたちが畑に入るんで、色んな所を踏んだりするんです。僕はそんなに気にならないタイプなんですけど、やっぱり農家さんの中には踏んじゃいけないところを踏まれ『あーっ』てなる人もいて。だったら自分でやってた方がいいかなっていう農家さんは多いのかなっていう気はしていますね。

片岡さん:ああ。狭間ですよね。来てくれたらうれしいけど、どこまで受け入れたらいいのか、どこまで許容するのかみたいな。

長坂さん:あと、知らん人来られたら嫌みたいな、そんなんもありますね。閉じてる感が農家の中で。鶴巻さんは他のこともされてるからあれやけど、見たこともない人がいきなりやって来たら嫌。みたいな。

鶴巻さん:それは僕も同じですよ。たぶん他の農家さんと一緒。そんなにコミュ力高いわけでもないんで。

片岡さん:そうですか?

鶴巻さん:ありますけど。

片岡さん:でも実際鶴巻さんは外から来られた方ですもんね。

鶴巻さん:そうですね、はい。

片岡さん:だからそういう、外から来る人の気持ちとか体験とかもわかってらっしゃる感じだから。

鶴巻さん:そうですね。例えば『怠農研』で鶴巻農園にあと2〜3人来ませんか?みたいな案内をフェイスブックで発信して友達の中から来てくれたらいいんですけど、例えばそれを種はおよぐのフェイスブックページで募集して、全く知らない人から問い合わせが来るみたいなのは、ちょっと抵抗があるかな。

片岡さん:一瞬ドキッとするっていう。

鶴巻さん:ドキっとするねえ。せっかく手伝いたいって言って来てくれたのに、なんとなく気が合わなくて受け入れるこっちがしんどくなったら申し訳ないし。何と言うんですかね、こう言った感情はきっと他の農家さんにもあるんですよね。

片岡さん:他の農家さんの方が鶴巻さんより大きいってことですよね。だってずっとその土地で農業をしてる方が多いですもんね。どうしたらいいんですかね?

長坂さん:そうなんですよ。

鶴巻さん:考えてるとこなんですけど。

長坂さん:手伝ってほしいっていうか、もうしんどいっていう感情はあると思うんだけど、いざ人が来たらおもてなししてあげないといけないっていう方が強くなってしんどくなって嫌になっちゃう。だからもうちょっとこう気楽な感じでできたらいいんだけど、そこをみんな心の中でどう思ってるんかなっていうのは、ちょっと聞いていかないと分からないところもあるかなと思ってます。

鶴巻さん:僕もこうやって農家する前は都市部で生活してたんで、畑に行ってお手伝いするってことがすごく楽しかったんです。でも農家になってみると、やっぱり仕事というか。労働なんで、どんな作業を手伝ってもらうかとか、バイト代を払わなくても本当にいいんだろうかとか、そっち側に考え方がどんどんシフトしちゃうんで。

片岡さん:ああ。

鶴巻さん:受け入れる側としては。

片岡さん:なんか返さなあかんのちゃうかみたいな。

鶴巻さん:とか、うまく利用しちゃってるだけなんじゃないかとか。そういう心のしこりみたいなのは残るのかなというのは、やってて思いますね。

長坂さん:私たちは黒大豆の枝豆をご馳走になりましたので。

片岡さん:ああ、とってもいい!

長坂さん:だからそこにギャップがある。『え、こんなんで喜んでくれるの?』みたいな基準が違うから。

片岡さん:日常ですもんね、鶴巻さんにとっては。

長坂さん:だって、本当に『じゃあこれ昼食べるか』っていって、ひゅって抜いて、摘み取って茹でて食べるみたいな。

片岡さん:最高じゃないですか。

長坂さん:最高でしょ? そうなんですよ。

ジムの代わりに農作業。しかもカレー付き

片岡さん:それだけで十分ですよね。しかも、手伝いに行きたいっていう人は、体動かしたいとか理由はいろいろあるかもしれないけど、自分からやりたいって言ってる人だろうから、もうそれだけで十分な気はしますけどね。

鶴巻さん:うんうん。

長坂さん:そういうギャップみたいなのが縮まったりとか、お互いの感覚がちょっと分かってきたら、『あ、それだったらできるかも』みたいな仕組みを作りたい。

鶴巻さん:そう。だからさっきの部活みたいな話でいくと、ジムに通おうとすると月数千円とかかかるわけじゃないですか。

片岡さん:ですよね。

鶴巻さん:それを、無料のジムみたいな感じで使ってもらえると、自分の中で、お金で換算すると何か折り合うかなみたいな。

片岡さん:しかもそれで最後にカレーついてくるんですもんね。

鶴巻さん:そうそう。

片岡さん:最高じゃないですか。

鶴巻さん:その辺の、捉え方とか、時間帯とか。2週間に1回でももしかしたら多いかもしれないし、どういう感じだったら、どっちもが負担なくゆるゆるとやり続けられるかな、っていう。

片岡さん:例えば実際に参加して、具体的に農業をやりたいって思ってる人から『これはどうやって作ってるんですか?』とか、『この作物を作るためには何を注意したらいいですか?』とか、そういうことを聞かれることってあるんですか?

鶴巻さん:もしかしたら前回来てくれた髭の人は、新規就農したいとかって言ってるかもしれないですね。

片岡さん:そうなんですね! 私とかも、家庭菜園をやりたいなって思ってて。でも何も分かんないから、実際に農家さんのところに行って作物を一緒に育てる体験をしたり、それを持ち帰って家で食べれたらいいなと。それはお互いウィンウィンになるじゃないですか。

鶴巻さん:うんうん。

片岡さん:そういう人もけっこういるんじゃないかなと思って。

鶴巻さん:そうなんですよ。同じ時期にいっぱい採れちゃうんで、トマトとかきゅうりとかに関しては。なので、食べる分の収穫をみんなで作ってみんなでシェアするみたいな。で、自分でちゃんと商売する分は、ちょっと手伝ってもらってぐらいでできたら。特に神戸は都市と農地の行き来がしやすい場所だから、時間に余裕がある人だけじゃなくて20〜30代の現役世代でも関われるきっかけとか、続けられる仕組みみたいなのを、いろんな人に聞いてやっていきたいなと思っているところでございます。

片岡さん:とっても素敵な活動ですよね。それが広まっていったらいいですね。

鶴巻さん:はい。みんな怠惰なんでね。

片岡さん:(笑)

長坂さん:仕組みづくりを、みんなでやっていきたいと思います。

片岡さん:仕組みづくりも、怠惰な感じでやっていくのがいいですね。

鶴巻さん:そうですね。

片岡さん:ちょうどよいバランスで。ありがとうございます。3回通していろいろと聞けてよかったです。

鶴巻さん:はい。ありがとうございました。

片岡さん:では、次はリモートというかラジオじゃなくて、私も実際に行けたらいいなと思います。

鶴巻さん:ああ、来てください。福井県から(笑)。

片岡さん:(笑) 2週間に1回は無理かもしれないけど、月に1回行けたらいいかなくらいの感覚なんですけど。半年に1回とかね。

鶴巻さん:それでもいいですよね。半年に1回。

長坂さん:怠惰だから。

片岡さん:そうですね。そんな感じでいけたらと思います。

鶴巻さん:はい。

片岡さん:ありがとうございました。

二人:ありがとうございました。