オンラインラジオから飛び出して、「種はおよぐ」メンバーが農村に突撃!
今回は都市住民と農家をつなぐ仕組みを研究する「怠惰な人類のための農ある暮らし開発研究室(怠農研)」にお邪魔しました。
3回シリーズでお届けします。


片岡さん:こんにちは。今日は、怠農研というちょっとよく分からない活動をしているメンバーがいるので、現地からいろいろ聞けたらなと思っています。では、怠農研をされている鶴巻さん?

怠農研とは?

鶴巻さん:こんにちは。鶴巻と言います。よろしくお願いします。

片岡さん:よろしくお願いします。なんか農家さんらしくないですね。

鶴巻さん:そうですか? 一応いま作ってたんですけど。

片岡さん:さっそく収穫されてたんですか?

鶴巻さん:いま毎日手掘りで収穫してて腰がやられそうなんです。

片岡さん:農業の他にもいろんな活動されてると聞きましたが。

鶴巻さん:そうですね。僕は兼業農家なので、お芋とお米作ってるんですけど、それ以外のときは、この神戸の里山の地域の移住した人をコーディネートしたりとか、あとは神戸の農村で起業したい人のためのプログロムの運営とか、そんな仕事もしながら農業もやってます。

片岡さん:だからすごいスタイリッシュな感じなんですね。

鶴巻さん:まじですか。ありがとうございます。

片岡さん:(笑) 今日は、ちょっと巷で噂になっている、怠農研という活動をされているというのを聞いて、お話聞かせて欲しいんですけど。

鶴巻さん:恐縮です。

片岡さん:あの、ざっくりどんな感じなんですか。

鶴巻さん:そうですね。簡単に言うと、農業ボランティアというか、農業したい人がちょっとお手伝いするような仕組みのことを『怠農研』と呼んでいます。

片岡さん:なるほど。

鶴巻さん:この取り組みを始めたきっかけは、EAT LOCAL KOBEという合言葉で開催されているファーマーズマーケットでした。ほぼ毎週土曜日の午前中に、神戸の農家さんが三宮の駅の近くまで直接野菜を売りに来て、それを三宮の近くに住んでる人が買いにいけるという場所なのですが、そこで僕が移住したい人のための相談ブースをしてたときに、ある女の子が来まして。

片岡さん:はい。

鶴巻さん:その子に、『私、農業ボランティアをしたいんですけど誰か紹介してくれませんか?』と言われたんです。そのときに、なかなか気軽に農業ボランティアとか、いつでも来ていいよみたいな、そういう農家さんって少ないなと思って。

片岡さん:ああ、そうなんですね。でも困ってる方はたくさんいらっしゃるんですよね。

鶴巻さん:そうですね。お手伝いしてもらえたら嬉しいなみたいな農家さんはいっぱいいるんですけど、じゃあ実際にやってくれる人っていうと誰かいるかな?みたいな感じで。その時はあんまり思いつかなくて。自分自身も畑やってますけど、ボランティアは受け入れてなかったんで。

片岡さん:自分でやっちゃおうみたいな。

鶴巻さん:はい、そんな感じで始めてみたんです。でもなんかこう、土日に親子連れで収穫体験しましょうみたいなのもアリなんですけど、それよりももっと、会社終わりにジムに行って体動かすみたいな感じでできないかなと思いまして。平日の生活様式のひとつとして、農業を手伝って健康管理するみたいな。そういう仕組みを作れたらいいんじゃないかな?と思ったんですよね。

人間は怠け者

片岡さん:へえ。でも、それって体験の体(たい)じゃないんですか? 怠農研の『たい』って『怠ける』になってるじゃないですか。

鶴巻さん:はい。

片岡さん:今のお話から聞いたら、普通に体験するっていうのとまた違うのかもしれないんですけど、なんで『怠ける』になってるのかなと思って。

鶴巻さん:それは僕がずっとこういう活動をしていて気づいた点なんですけど、やっぱり人間は怠け者なんです。けっこうみんな『農業をしたい』とか『畑をしたい』って来るわけですよ、最初はね。まあ実際、春はそんなに雑草伸びないんで、種まいて楽しいとかってやるんですけど、草ボーボーになって、行くのがめんどくさくなることもあるんです。畑あるあるといいますか。で、農家側も最初は『いいよ!』って受け入れるけど、だんだん受け入れるのがめんどくさくなって、しんどくなっていくという。

片岡さん:(笑)

鶴巻さん:とにかく、『人間は怠け者』ということを出発点に、そういう怠惰な人間たちでも、ゆるやかにつながり続ける仕組みがないかなって。

片岡さん:来てもいいし来なくてもいいよみたいなぐらいの、来れるときに来たらいいよぐらいのということなんですね。

鶴巻さん:はい。だから、行く側も大きな期待をそこまでしないし、受け入れる側もそこまで大きな期待をするとかじゃなくて。ゆるやかに、2週間に1回くらい部活代わりに来てもらって、体をワーッて動かして、野菜もらって帰るみたいな。

片岡さん:ああ。それは受け入れる側も気持ちが楽になりますね。

鶴巻さん:そうなんです。それくらい、がっつりでもないけど、ちゃんと日常的にちょっとずつ関わるみたいなことができたらいいなっていう。怠農研もただの名前なんで、その仕組みがどうあったらいいのかなっていうのは、今いろいろ考えながらやっています。

片岡さん:でもこれを普通の農家さんに拡げていくのって、やっぱり鶴巻さんみたいなキャラクターだからできるみたいなところがありますよね。

鶴巻さん:どうなんですかね。付き合いが好きな人も嫌いな人もいるんでなんとも言えないですよ。

片岡さん:そうですよね。強いこだわりを持ってる人もいるし。

鶴巻さん:そうなんですよ。神戸がすごく面白いなと思うのは、なかなか知られてないんですけど車で30〜40分くらい三宮から走れば、こういう田舎に来れるんです。他の地域だと、もっと距離があったりとか、栽培面積がすごく広くて全て機械化しちゃって人が手伝う場所がそんなになかったりするんですよね。でも、神戸は街と農地が近いし、耕してる面積もそんなに広くないので。農業にいろんな人が関わってくる可能性がすごくあるんじゃないかと思っています。神戸らしいそういうつながり方みたいなのができたらいいなと。

片岡さん:実際やってみて、継続して来てくれてる人はいるんですか?

鶴巻さん:今年はコロナ禍の影響で一時期時間を持て余した人もいましたよね、そういう時期に知り合いの髭がはえてるカメラマン(種はおよぐメンバーの岩本)が『田植え手伝いたい』と言ってきて。

片岡さん:私も見覚えある気がするんですけど(笑)。

鶴巻さん:見た目45くらい(実際は二十代)の人なんですけど。

片岡さん:(笑)

鶴巻さん:その人がけっこう来てくれて。で、ちようど今年はいつもやってる作り方じゃなくて、牛糞堆肥とか使って有機やってみようかなとも思ってて。でも、牛糞をひたすら畑に一輪車で播くみたいな作業はなかなか一人じゃできなかったんです。そこに彼が行くって言ってくれたんで、あいついるからやろうかなって。

片岡さん:助っ人がいたから可能になったことがひとつあったんですね。今までは一人でできなかったことが。

鶴巻さん:そうなんです、そうなんです。彼が2週間に1回くらいだったら来れるかもっていう話と、ファーマーズマーケットで農業ボランティアしたいって女の子がいるのに、紹介する人がなかなかないなみたいなことが、他にも5〜6月くらいに起こって。もう1回、人と人を繋ぐ仕組みを考えてみようかなってなったんです。

片岡さん:こういうご時世だから、外でやれるのはいいですよね。いろんな取り組みを。

鶴巻さん:そうですね。

片岡さん:実際、体鈍ってる人もめっちゃいるやろうし。

鶴巻さん:はい。で、今日その髭の人が来てるんで、よかったらちょっとお話を。

片岡さん:(笑) 45歳の髭の人が。

鶴巻さん:はい。今日も畑で、二日酔いのまま芋掘りしてたんで。

片岡さん:けしからんですね(笑) 酒抜きに来たみたいな感じですよね。

Vol.2に続く!