つながるレストランとは、
神戸の農家さん、漁師さん、養鶏や畜産、酪農家さんなど、「種はおよぐ」のこれまでの取材やイベントでつながった生産者さんの食材を、「種はおよぐ」メンバーや神戸のシェフが調理し、生産者の方々ともに神戸の里、山、海の食材が生まれる場所を会場にして一日限りのレストランを行うという企画です。
第3回のつながるレストラン海編は、12月3日(土)垂水漁港で行われました。


神戸市役所の牧野さんの挨拶から、
第3回つながるレストランが始まりました。

牧野さん:神戸市役所 経済観光局 農水産課 食都神戸の担当課長の牧野といいます。
今日は皆さん、お集まりいただきましてありがとうございます。
神戸はポートタワーであるとか港町というイメージがあるんですけれども、実はものすごく農漁業が豊かな地域なんです。
人口100万人以上の都市では、農業の生産高はNo.1。
漁業ですと、この海には7個の漁港があります。そういう中で非常に豊かな魚がいっぱい捕れ、その魚の競りを見ていただいた後、皆さんで捌いて料理し、それを食べていただく。今日は、その漁港で、海の豊かさを感じながらごはんを食べていただくという企画になっております。
今日、主役の漁師さんたちに自己紹介をしていただきます。

右から、西村さん、若林さん

西村さん:神戸市東垂水地区の西村和基と申します。主に普段はしらす漁をしています。しらすの合間に底引き網漁をしています。
今日、皆さんとお会いできることを楽しみにしていました。どうぞよろしくお願いします。

若林さん:東垂水地区の若林です。普段は西村さんと同じようにしらす漁を、同じ船に乗せてもらって、一緒に商売させてもらっています。あと、一人で鯛の刺し網漁をしています。
今日は、よろしくお願いします。

牧野さん:しらす漁なんですが、神戸の漁港だけ夜明け前にしらすをとることができ、プランクトンを食べる前のとても透明度の高いものがとれています。
「神戸夜明けのしらす」を西村さんをはじめ若手の漁師さんが浜を超えて繋がっているペアトローリングスと言うメンバーがいて、そのメンバーで一生懸命取り組んでいます。
夏には、テレビ番組「旅サラダ」が取材に来てくれたりして全国的にPRしてくれました。夜明けのしらす、神戸のしらすをどこかで見かけたらぜひ買っていただけたらなと思います。

牧野さん:この「種はおよぐ」というプロジェクトは、神戸は山と海と繋がっていて、里と食を繋げていこう、海とも繋げていこうという、そういったグループの中で神戸の魅力であったり神戸の食であったりを紹介しています。
一緒に取り組んでいただいているクリエイターさん、農家さんなどいろんな素晴らしい方たちとやらせてもらっていますので、自己紹介をお願いします。

大皿さん:「種はおよぐ」で会長をさせてもらっています大皿と申します。普段は西区で有機農家をしております。1回目のつながるレストランはシェラトンファームでさせてもらったんですが、そこでは僕たちの管理しているファームを皆さんに楽しんでもらうというイベントを行いまして、2回目は山編ということで僕たちと一緒に活動している農家さんの畑で食事をしまして、今回3回目ということで初の海編、楽しみにしていますので皆さんとできるだけ交流できたらと思っています。よろしくお願いします。

鶴巻さん:副会長をしています。北区の淡河町で兼業農家をしている鶴巻といいます。
農村に関する操業、起業したい・移住したい人をサポートすることをしながら、自身でもサツマイモを作ったり農業をしています。
こういったイベントを通じていろんな人が繋がったり、海と山と都市の皆さんがお互い繋がっていけるような場を作れたらいいなということで関わらせてもらっています。
僕自身も昨年か一昨年ぐらいから、漁師さんとか海のこととか改めて勉強して知ることが多いので、まだまだ知るということが大事だなと感じています。
どうぞよろしくお願いします。

岩本さん:写真家として活動していたり、デザインの企画とかをしている岩本と申します。今日は写真を撮りますので、絶対に公開されたくないとかありましたら撮らないようにするのでこっそり教えてください。よろしくお願いします。

多々良さん:初めまして、多々良と申します。普段はホームページを作る仕事をしています。今日は、この回の記事を「種はおよぐ」というWebサイトに載せるので、そのライターとしても動きます。よろしくお願いします。

佐野さん:神戸市役所の農水産課で働いている佐野と言います。同じく食都神戸を推進しているというのが仕事なんですが、要するに農家さん漁師さんあと街の皆さんを繋ぐのが仕事と思っていて、この種はおよぐもまさにそういうふうなプラットフォームなんですね。なので、ぜひ皆さんホームページを一回見てもらえたらなと思っています。多々良さんの作った素敵なページとあと岩本さんが撮った素敵な写真、鶴巻さんの素敵な文章、そこに大皿さんのカリスマ性が合わさってできたものです。結構読んでて楽しいホームページですのでぜひぜひブックマークに登録してもらえたらうれしいなと思っています。よろしくお願いします。

松嶋さん:同じく神戸市農水産課の松嶋と申します。先ほど説明のありました「種はおよぐ」を担当しています。今日出される魚は、これから見学していただく競りで実際に落とされた魚ですので、神戸でとれた新鮮な魚を、今日はこの漁港という特別な場所で味わっていただけたらなと思います。どうぞよろしくお願いします。

セリの見学

「つながるレストラン」参加者は、近くで競りを見学させてもらいました。参加者それぞれ、気になることは、西村さんと若林さんに話しを聞いてました。

若林さん:小さい魚は次に繋げるように、海に戻します。ずっと海で仕事しようと思ったら、残していくことも大切なんですよね。
みんなラインが決まっているわけではないので、小さいから逃がそうか判断するラインは、個人の判断になるんですけど。

鶴巻さん:網の目がどうこうってあります?

若林さん:あまりにも小さい網目のものは禁止にはなっているんですけど、僕ら刺し網に関しては全然規制がないので、10cmの網目使っている人もいれば14cmとか。その1cmの差で獲れる鯛の大きさもだいぶ変わります。

鶴巻さん:刺し網の「刺し」ってどういう意味ですか?

若林さん:魚が泳いでいて、びっくりした時、網に頭から刺さるんです。それを刺し網漁と言います。魚の群れを見つけて、それに対してグルッと囲むんですよ。囲んで5〜10分ぐらい置いて自分で網を確認して、大丈夫そうやなってなったら引き上げます。
1日に4回大体1時間半〜2時間ぐらい。いけてもそれだけって決まっているんですよ。

料理に使う野菜などの説明

大皿さん:今回うちのチームの野菜を多く使うんですけども、これは根深ねぎで、紫色にアントシアニンが出ているので美味しいです。これ金時人参です。正月の人参のために作ったんですけど、今年は暖かいので、結構早く出来ました。人参の匂いは金時の方がしっかりしているし、西洋人参に比べて甘いのが特徴です。

これは、紫芋かな。長田さんの農園のものかな。農家によって形が全然違ったりして、土地の状態によって、変わってくるんですけども、さらさらした砂地のところだとこういう綺麗な形になります。粘土質のさつまいもは結構ゴツっとした感じですね。

これは、たぶん丸山さんの黄金千貫だと思ったけど、丸山さんファンから違うと言われたので隼人かな。
あとこれが、黒丸大根という大根です。ちょっと辛味があって、ただ焼くとすごく美味しい。ファーマーズマーケットとかこういう色なんでなかなか売れないですけど、一回買うとすごいリピーターが多いです。

これは、あやめかぶです。これも生で全然食べられます。すごくしっとりとした食感です。
これは、スティックブロッコリーですね。長田さんのですね。
あと、これはゆみさんのですかね。

森本さん:はい、ハーブ系を準備しました。

大皿さん:僕では説明できない・・・これにんにくです。

森本さん:あと、リーフも。ベビーリーフとルッコラ、これはあとでサラダにします。

大皿さん:ベビーリーフとルッコラはうちですね。で、そのレタスは丸山さんかな。今の時期ベビーリーフも、暖かいから成長がすごく早くて、もうベビーじゃないだろうって。でもね、割と海外の人はこのぐらいの大きさが好きで、小さいより大きい方がわさっと食べたい人には大きめのサイズの方が受けがいいです。

でもレストランとかなるとできるだけ小さいのがいい。
あと、うち今日、お米を持ってきています。お米は「みどり豊」と言って滋賀県のお米なんです。コシヒカリの突然変異を育種した方がいて、大体育種するのに7年ぐらいかかる。

お米をつくられていた方のお子さんの名前で、「みどり」と「ゆたか」。育種するストーリーがすごいのかなって思ったら、名前は結構安直な名前でした。滋賀県では結構作られています。これは育種した品種なので、僕らも種を買わせてもらうときは「ここから種は取りません」という契約を結ぶんです。今、勝手にどんどん取ってっていう問題もあるんで。

みどり豊は冷めても美味しいというお米で、今日はその辺ももっちりしてるところとかも楽しんでください。

森本さん:今日はこの野菜を、最初は魚の刺身とか、蒸し物とか、魚を分けて、それに合わせて蒸し物に野菜と生のサラダに合わせてっていうので、この中から用途を変えて使えたらなと思っているんですけど、魚がまだ時間がかかるので、野菜を先に皆さんでカットできたらなと思います。

で、この辺は薄く切ってサラダに合わせてもいいかなと思うので、皆さんで相談されたらいいかなと思います。

今の話を聞いて、蒸し物に合うとか、魚を蒸そうと思っているんですね、そこに野菜を添えて一緒に蒸して、タレを作ってきているので、それを和えて食べてもらえたらなと思っているので、そんなことをイメージしながら皆さんで切れたらいいかなと思います。

森本さん:蒸すんだったら、どんなふうにカットして蒸すとか、そういうのを考えるのもみんなで楽しめたらいいのかなと思っています。

サラダだったら薄く切るとか、葉っぱも使えたらなと思うので、そのあたりもみんなでなんとなく。

魚を切ったのを二人一組で、半みずづさばいてレクチャーするので、二人一組になってください。

で、皆さんで相談しながら、蒸す野菜をする人、サラダする人みたいに分かれてやりましょう。

森本さん:リーフのサラダは事前に洗って盛り付けるだけになっているので大丈夫なので、蒸し野菜とサラダ用のかぶをスライスするのと、あと汁物もあるのでその汁物に入れる分もカットしてもらえたらと思います。汁物はあら汁です。魚をさばいた後のものを出汁に取ろうと思っているので。

参加者のみなさん、相談しながら調理を進めています。

佐野さん:改めてなんですが、今日の料理を担当していただくお二人、自己紹介をお願いします。

岩本さん:種はおよぐのメンバーで料理を担当しているお二人です。

對中さん:京都の南山城村というところで週2日レストランをしております「山のテーブル」の對中と申します。よろしくお願いします。

森本さん:森本由美です。よろしくお願いします。塩屋に「TANE to」という場所があって、そこでもやっています。

森本さん:今日は、上がった魚でお刺身と、お刺身さばいた後のあらで、汁物をつくるのと、農家さんの野菜でつくるサラダと、あとお米、先ほど浸水する前のお米見ていただいたんですがハーブを入れてハーブライスと魚を丸ごと野菜と一緒に蒸した蒸し物の献立でいこうと思います。

對中さん:それを皆さんと一緒に作っていきたいと思います。

森本さん:先ほどそれをざっと説明して、皆さんで思い思いに切っていただいたんですが、サラダがもう出来上がっていて、あと蒸し物だったり汁物を今から魚さばいた後に組み合わせて火にかけていけたらと思います。

岩本さん:さばき方に関しては後ほど、漁師さんによるカジュアルな捌き方を教えてもらいます。

對中さん:2班に分かれていただいて説明していきたいと思っているんですが、まず、魚にまつわる話を少し伺ってから、捌き方というふうに移っていきたいと思います。

西村さん:これが鯛。明石鯛です。真鯛と呼ばれています。で、これがハマチ。ハマチツバスですね。で、これが長ハゲ、正式にはカワハギです。あと、これがクロダイです。
で、これがヒラメです。これ全部、今日、神戸の海で捕れた魚になっています。

西村さんに魚の種類を教えていただきました。

對中さん:この辺の海で捕れる魚種ってどういうものになるんですか?

西村さん:この辺は底引網を使って捕ることが多く、これが釣りとか刺し網で捕ったものです。
ハマチも釣りで捕ることが多いです。ハゲは、ほとんど底引網で捕る感じです。この辺の魚もほとんど底引網で捕れました。

岩本さん:簡単でいいので、神戸でやっている漁業の方法を教えてもらっていいですか?

西村さん:神戸の漁法で言うと、僕たちは、しらすを捕っている船曳網と言って、一つの網を2艘で引っ張ってしらすを捕るという漁法をしてまして、先ほどあった底引網というのは、ほとんどの方が一人で海に出て、一人で一つの網を引っ張って底物であったり浮き物でであったりとかを捕る漁法になっています。

それとあと、刺し網は浮きとおもりがあって網を張るんですが、そこに刺さる漁法になっています。あとは、釣りですね。一本釣り、それぐらいですね。

岩本さん:刺し網って本当に刺さっていく感じ?

若林さん:本当に刺さっていく感じです。絡まって。

岩本さん:普段、刺し網されているんですよね?どんな魚が捕れますか?

若林さん:鯛がメインで、ハマチとかもかかりますし、11月であればサバが多かったですね。底にいる魚であれば大体かかりますね。たまにヒラメとかもかかるのはかかりますけど、メインは鯛ですね。

岩本さん:この時期は魚がどんどん美味しくなる時期だと聞いていますが。

若林さん:そうですね。ハゲも肝ついていて美味しい。鍋しても美味しいですし炊いても美味しいですし。鯛もちょうどこの12月〜2月までが一番脂が乗る時期なんで、何しても美味しいです。

岩本さん:魚のさばき方って正しい方法が色々あるんですけど、正しくないといけないと思うと一気にハードルが上がってしまうので、漁師さんたちが普段しているざっくりさばく感じの方法を教えていただこうかなと思っています。

若林さん:お願いします。

漁協職員さんによる鱗取りを見学

魚を絞めた後、鱗取りをしていただきました

對中さん:「真鯛を神経締めしたら色が落ちて白くなっていく。見た目を優先するなら、逆に神経締めしない方がいい。」というのを先ほど漁師さんに聞きました。

若林さん:魚が暴れている間に、血が回って身が悪くなってしまう。だからなるべくすぐ神経締めをして、暴れさせない、血を回さないようにして鮮度を良くするっていうのが本来のやり方ですね。

魚の捌き方

岩本さん:まず頭を落として、腹を開きます。中の内臓を出します。今、さばいている魚はツバスです。ツバスは成長すると名前が変わっていく魚ですよね?

西村さん:そうそう。ハマチ→ブリになるんやったっけ?

若林さん:間に何か入るけど、僕らはハマチ→ブリの呼び方しかしていないです。

西村さん:はい、骨も切って。

岩本さん:背中から割っていくんですね。背骨に沿って割っていく。

對中さん:包丁入れる場所のコツとかありますか?

西村さん:このヒレを取って、包丁を入れます。

丁寧に教えてくださる西村さん

岩本さん:骨を感じながらいく感じですか?

西村さん:はい。

西村さん:はい、こんな感じです。これで三枚おろしです。

みんなで魚を三枚におろす

岩本さん:では、今からカワハギのやり方を教えてくれるので、皆さん聞いてください。

對中さん:カワハギは全部刺身にして、肝につけて。

若林さん:ここのヒレの下にぐーっと包丁を入れてもらって、尻尾も落としてもらって。
ここにちょうど開くところがあって、ここに筋を入れるんですよ。これぐらいの。
ここのところからすーっと、ここから皮をめくってもらって、結構このやり方が簡単かなぁと思ってやるんですけど。

若林さん:ここにエラがあるんですけど、このエラのところから手を入れたら、こう引っ掛けるようになる。で、エラだけ綺麗に取れます。
エラが残って炊いたら臭みが強くなるので、炊くときはエラを取ってもらって、鍋の時も。という感じです。

丁寧に伝えてくださる若林さん

若林さん:僕ら、今、包丁でやってますけど、普段はハサミでやるんですよ。ハサミの方が結構簡単に切れます。このヒレをチョキチョキと、全部キッチンバサミでしています。
ここが硬いので切りにくいんですけど、落として、この開くところを包丁入れてもらって、これですーっと、であと皮を剥いでもらったら。

参加者の方も上手に捌いていました

みんなで食事

鯛とカワハギの刺身
サラダ
蒸し鯛と蒸し野菜 ナンプラーソース
鯛のあら汁
ハーブごはん

對中さん:カワハギは、カワハギの肝を叩きまして、醤油だれ、肝醤油がおすすめです。

對中さん:皆さん、手を合わせて、いただきます。

全員:いただきます。

種はおよぐスタッフもおいしくいただきました。

佐野さん:皆さん、食べている方、ゆっくり召し上がってください。全然、この場はもうちょっと時間がありますので。
今日、ここは漁港ということで、主役・漁師さんたちお二人、本当にありがとうございました。長時間、密着取材みたいな感じで皆さんにさばき方を教えてくださって、普段、どれぐらいの頻度で漁をされているかとかプライベートもたくさん話していただいたのかなと思うんですけども、改めまして、漁師の方に拍手をお願いします。

全員:パチパチパチ(拍手)ありがとうございます!

佐野さん:あと今日の料理を担当いただきました對中さんと森本さんにも拍手をお願いします。

全員:パチパチパチ(拍手)ありがとうございます!